「デジタル化」って何からやればいいの?

WEB活用の教科書

今回の授業の先生



WEB活認定コンサルタント
村上 出(むらかみ いずる)

執筆コラム

今週の質問と回答

【Q】
小売り店舗を経営しています。色々な会合などでも、中小企業も「デジタル化」をと言う言葉を良く耳にするようになったと感じています。
でも、一体何から手を付けていけば良いでしょうか?
但し、効果が解らないのに、多くの投資も出来ず、悩んでいます。  
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【A】
数年前から「DX」つまり、デジタル化やデータを経営に活かすことで、自社の経営基盤を強くする取組みが重要と言われていますね。
もう少し紐解けば、DXは従来から言われてきたIT化やIoTの活用などシステム利用と言う事ではなく、それらを活用した方が便利ではあるが、更に自社のビジネスモデルを変革する活動を指しています。
このため、事実(情報=データ分析結果)に基づいた仮説を立て、試行錯誤して取組む事によって得られた知見や経験・ノウハウも活かして自社の事業に反映させて改革していく取組みとなります。
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(ポイントは、段階的な取組み)
経済産業省の「DXレポート2」では、DXの構造は、先ず「デジタイゼーション」、次いで「デジタライゼーション」が出来てこそ、「デジタルトランスフォーメーション」に進めることが現実的と説明されています。
デジタイゼーションとは、例えば紙の書類をスキャナ等でPDF化して、その電子データを事業の保管対象として取り扱う事などの事です。
デジタライゼーションは、この電子化の活動を自社の全ての事業活動においてプロセスとして定着させ運用を継続できるレベルを指します。
この様な社内業務運営が整った上で、上述のような自社事業に有用な情報を収集し、それを分析して経営に活かしていくことにより、事業を強くする取組みに繋げて行く事になります。
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(個店で取組む具体例について)
ではご質問の『一体何から手を付けていけば良い』かですが、近年、クラウドや生成AIなど、これまで想定していない様なサービスが、安価で簡単に利用できるようになってきました。
これまでの様に規模の大小に拘わらず、企画力で勝れば、対象とする顧客(市場)も、世界中に広げる事も不可能ではありません。
個店ビジネスとして、安価で簡単に開始出来る5つのアプローチについて、ご紹介します。
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1.WEBのアクセス解析:
既に自社ホームページやSNSは利用されているかも知れませんが、その上で、いつ・誰が・何を視に来訪しているのか?つまり、どの様な商品やサービスに興味を持たれているのかを知りそれを更にアピールして行く事で、売上増に繋がる可能性が期待されます。
この事そのものが、情報を分析して経営に活かす活動と言えます。
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2.無償で利用できるデジタル宣伝の利活用:
グーグルでは「ビジネスプロフィール」と言う無償のサービスを提供しています。
インターネットで利用するブラウザはグーグル社のCROMに限られますが、誰かに検索操作された際に、自社の立地する場所や情報をどの様に表示するを無料で管理可能となります。これにより実店舗への道順を案内出来、顧客を迎え入れてサービスを提供する事に繋げられます。
詳細は「ビジネスプロフィール」で検索し提供されているヘルプ機能などを参照ください。
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3.CRMツールを活用した潜在顧客の開拓:
CRMとは、潜在顧客が自社サイトにアクセスした情報をもとに、関係性を情報化し自動的に顧客データベースを生成する機能です。
ECサイトはもちろん、それ以外の自社サイトでも例えば「問合せ」ページで質問された際にユーザ情報や問合せの種類・日時などの情報をデータベースとして自動的に記録するため、後に顧客分析などを行い、こちらから興味のある商品を紹介する様な活動に繋げられます。
CRMツールは有償ですが、年間利用料は数万円程度ですので、この様な取組みと効果のバランスを評価してみては如何でしょう。
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4.チャットボットで来訪者を逃がさない取組み:
チャットボット機能とは、チャット=対話、ボット=ロボット(自動)の造語で、ホームページの来訪者が数秒間次の操作しない場合に、対話型で御用聞きをする機能です。
統計によると、サイトを訪問したユーザは自身の求める情報が見つからないと数秒程度で離脱する傾向があると言われています。
チャットボット機能は訪問してくれたユーザに対して、探している対象を回答すれば、予め設定しておいた情報に基づき、対象となるページをユーザに表示する事で、折角訪問してくれたユーザを逃すことなく、場合によっては、問合せに誘導することでユーザの連絡先なども聞き出すことも可能となります。
つまり、24時間365日休まない営業マンとも言えます。
利用コストは、無料~年間数万円程度です。
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5.SNSやメールマガジンでのファン化・集客:
ホームページは情報発信力が無いため、SNSやYouTubeなどのコンテンツで興味を引き、詳しい情報はサイトにリンクを張っておくことで、これまで繋がっていなかった人を自社サイトに呼び込む動線となります。
なお既存顧客など既に繋がっている人には、定期的(例え年間4回程度でも)にメールマガジンで新しいサービスなどの情報を流し、自社サイトに詳細なコンテンツを掲載することで、同様にメールマガジンのURLをクリックされることで、自社サイトの当該記事に呼び込む事が可能となります。
SNSの宣伝費用もお試し程度で可能であり、またメルマガ発信ツールも、年間費用も限定的です。
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(まとめ)
紹介したそれぞれが自社の売上に効果的かを簡単に試してみる事も可能です。
色々試行検討し、有用なものを見極めて取組着手されてみては如何でしょうか。
経済産業省の「DX認定」制度では、次のような段階的取組みを案内しています。
先ず、自社の現在のレベルを認識するためにセルフチェック(自己診断)を実施する。
もし、これまで何も取組み出来て来なかった場合は、レベル0(未着手)状態であることを再認識し、先ずレベル1に上がる取組みを計画し実施していく。
レベル判定を行いレベル1に上がったら、次にレベル2に上がる取組みに広げていく。
同様にレベルは5段階まで規定されており、必ずしも5まで到達する事ではなく、自社で目指すべき目標レベルを定め、取組活動を繰り返し継続して行く事が重要です。
あくまで、自社のビジネスモデルを強化して、付加価値を高めていく取組みの参考になれば、幸いです。

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