【質問】補助金申請時の経営計画・戦略の立て方で良い方法は?

WEB活用の教科書

今回の授業の先生



WEB活認定コンサルタント
村上 出(Murakami Izuru)

執筆コラム

今週の質問と回答

【Q】
中小の卸・小売業の事業者で「事業再構築補助金」の申請を検討しています。公募要領をみると自社の経営戦略を立てるのに、強みや弱みを分析して、その計画の説明が求められています。
そこで以前活用した事のある「ものづくり・商業・サービス補助金」に切り替えようと公募要領を確認したところ、同様の計画・構想の根拠を説明することが求められており、以前活用した際よりも難しくなっている様です。しかし普段の業務に追われていて、なかなか戦略を立てる時間も無いのですが、皆さんはどの様にしているのでしょうか?
お金を掛けない良い方法があれば、教えてください。
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【A】
ご指摘の件、特に近年各種公的の補助事業では、事業戦略に基づく活動として、補助事業が活用されるのかの審査にも重きを置いているのだと考えられます。
もともと補助事業・助成事業は、皆さんからの税金が原資であり、何か有効な事に取組もうとしている事業者様を背中から後押ししてくれる存在です。
決して、単純に安く買い物をするために交付されるものではありませんから、どの様な構想や計画に基づき、何を必要とし、どの様な効果が得られそうなのかを審査されると言う事です。
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(事業再構築補助金で問われている戦略とは)
事業再構築補助金で求められている自社の事業分析では強みや弱みを指していますので、有名な手法としては「SWOT分析」が想定されます。
これは、自社の事業環境を捉えて、強み/弱み/機会/脅威に分類して客観的に捉え、取組みの優先度や内容・方式を整理していきます。
自社の財務状況を俯瞰的に分析するツールとして、中小企業庁のミラサポplusと言う支援サイトにloginし「ローカルベンチマーク」と言うサービスを無料で利用可能となっています。
https://mirasapo-plus.go.jp/
また、今後取組むマーケットの分析方法として経済産業省では市場動向等を簡易に把握できる「統計分析ツール」も利用可能としています。
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/14583/
 
なお「事業再構築補助金」や「ものづくり・商業・サービス補助金」の申請に際しては、金融機関や商工会議所などの認定支援機関の支援を受けて申請する事も条件であり、これらの支援機関では無料もしくは低料金で、事業戦略の立案などのサポートの役目も担っていますので、先ずは、取引先の地域金融機関に相談してみるのも良いでしょう。
 
(一般的な戦略検討手法について)
経営戦略の立案は、最初に経営者による〇年後に、どの様な企業を目指すのかと言う目標があり、それをどの様に具現化するのかと言う中期や短期の事業計画に落とし込んで行きます。
このため、現状分析を行い、現状と目指す事の差分をどの様に埋めて行くかの方向性を策定していきます。
また、取組みを具体化するための俯瞰的な整理として戦略マップの作成は、最上位に経営(財務)の視点/2段目に顧客の視点/3番目に業務プロセスの視点/その下に従業員(学習と成長)の視点と言う階層的に検討するバランススコアカードと言う手法も、良く活用されます。
 
(IT化に取組む際の無料ツール等について)
事業戦略立案・策定の中で、IT活用による省力化などの課題に対し、どの様なアプローチで取組むと効果的なのかを自社で検討する方法もあります。独立行政法人中小企業基盤整備機構では、「IT戦略マップ」と言うサイトツールを提供しており、自社だけでも無料でIT活用の進め方戦略マップを作成することが可能です。
https://it-map.smrj.go.jp/
 
(無料の専門家アドバイス制度について)
例えば東京都中小企業振興公社で2021年から開始された助成事業に「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」が制度化されました。
https://iot-robot.jp/business/subsidy/
 
この事業では申請する前に、公社への申込みにより、専任アドバイザーが、御社の課題を聞き取り解決のためのトータル支援を無料で支援してくれます。そのアドバイス内容に基づき、取組み計画を立て、助成事業に応募申請すると言う進め方となります。
 
また独立行政法人中小企業基盤整備機構でも、中小企業が経営にITを活用する支援として、無料の「IT経営簡易診断」事業が用意されており、公募事業への申請に関係なく、3回の簡易的な課題解決のアドバイスが受けられます。
 
(自社でDXに取組む際のツール等について)
近年、単なるITの活用による省力化などだけにとどまらず、全社の社風も変革するようなデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の取組みも重視されるようになってきました。
この取組みは、経営層の強いリーダーシップとガバナンスにより、事業や業務を大きく変容することで強靭化を図ると言うものです。
ここで言うガバナンスは”統治”ではなく、”想いの共有化による経営方針の浸透”と言う言い方が近いかも知れません。
つまり、この取組みは社内改革であり、成熟度段階で自社を評価する方法となります。
経済産業省では、DX取組み推進のためのガイドラインを2018年12月に公開しました。
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html

また、独立行政法人情報処理振興機構では、DX認定と、その取組みのための自己診断用として、excelの成熟度診断シートも無料で提供しています。
https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxpi.html
https://www.ipa.go.jp/files/000087909.xlsx
 
将来に向けて、事業や業務の大胆な変革取組みの戦略策定では、この様な取組も重要になって来ることから、取組みの検討をお薦めします。

(まとめ)
DX取組みが重視されるのは、経営層による全社改革の必要性と考えます。
この様な取組を通じて、経営計画・事業計画が定まり、個々の取組み戦略が策定され、その中で必要があれば、補助金・助成金を活用すると言う落とし込みになります。
各種支援機関などにも相談し、先ず自社の構想や戦略の策定に取組まれる事をお薦めします。

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