【質問】中小企業におけるBCP対策の重要性について

WEB活用の教科書

今回の授業の先生



WEB活認定コンサルタント
村上 出(むらかみ いずる)

執筆コラム

今週の質問と回答

【Q】
「ビーシーピー」が中小企業でも重要と聞くことがありますが、どの様なメリットがあるのでしょうか?
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【A】
「ビーシーピー」、つまり「ビー・シー・ピー」ですね。これはBCP(Business Continuity Plan)の略語で、「事業継続計画」のことです。
これは、風水害などをはじめとする気候変動や気象・自然災害等により、事業所や設備のほか従業員やその家族に直接的/間接的に被害が発生することにより、通常の事業運営が叶わなくなら無いように、事前にリスクや課題を抽出し、対応策や回避策・実行力のある軽減策を計画し準備・備える事を指します。
この様な自然災害のほかに、近年は新型コロナに代表されるような感染症により、社内でクラスターが発生すれば、一度に多数の従業員が休業することになり、やはり通常の事業継続が困難になることも予想される事から、この様な事象に対しても、予め発生しない取組みだけでなく、発生した場合の対処方法を取り決めておくことが重要となっています。
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(BCPの策定指針について)
以前は先進的な幾つかの自治体では、都道府県単位で、手法・方法を定め、中小企業が取組む際のガイドラインとして活用できるようになっており、自治体でも中小企業向けの支援策を実施している地域もありました。
この様な中、令和元年7月に中小企業の自然災害に対する事前の防災・減災への取組み等を促進するため「中小企業強靭化法」が施行されました。中小企業強靭化法では、個々の事業者だけでなく、サプライチェーン全体にも大き
な影響を及ぼすおそれのある自然災害に対して、中小企業の事前対策(防災・減災対策)を促進するため、「事業継続力強化計画」の認定制度が創設され、税制優遇や補助金などの支援措置が講じられるようになりました。
 
(中小企業向けの認定制度とは)
中小企業強靭化法で定められた中小企業向けとなる「事業継続力強化計画」は、元来のBCPよりも対象範囲は狭くすることで、中小企業に過度
な負担にならない様な考慮のもと、あらゆるトラブルに対応できる綿密さよりも、リスクの事前確認や手順づくりなどに重点を置いており、ガイドラインも定められ、地域経済産業局にオンライン申請することで、必要に応じて適切なアドバイスを受けて対応することで、その取組み・活動に対して認定されるものです。
認定は個社単独で申請する方法と、複数の企業が連携して認定を受ける「連携」型があります。
中小企業の場合、一社だけで備える事は資金面や体制面でも不十分な場合もあり、取引のある関係でサプライチェーンが毀損しないためにも複数の企業で取組むメリットもあります。
 
(認定を受けることのメリットについて)
BCPに取組むメリットは「緊急事態への対応力の向上」です。また、認定を受けると認定マークを自社のホームページや名刺等に掲示することも許可されており、次のような副次的な効果も期待されます。
1.顧客から高評価を得て信用の維持につながる
2.低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
3.経営管理の再確認につながる
4.防災・減災設備に対する税制措置
5.補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
6.連携企業や地方自治体等からの支援措置
補助金制度では、今年度から事業承継補助金のうち、【経営革新事業】【専門家活用事業】の加点要件になるほか、IT導入補助金の「セキュリティ対策推進枠」でも新たに加点対象となりました。
 
(まとめ)
近年、中小企業もサイバーテロ等の標的になるケースも発生しており、セキュリティ対策の一環として、「事業継続力強化計画」でも事前に発生時の対応策を講じる企業も現れてきました。
緊急事態に対し、有効な手を打つことが出来なければ、中小企業の様に経営基盤の脆弱な場合は廃業に追い込まれる恐れもあり、倒産や事業縮小を余儀なくされないよう、平時から「事業継続力強化計画」策定し準備してお
くことが重要です。
中小企業基盤整備機構では、無料の策定支援事業も提供していますので、一度相談されてみる事をお薦めします。

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