テスト・改善によるホームページのブラッシュアップサイクル
ホームページを制作・公開したあとは、コンバージョン率を向上させるためにホームページをブラッシュアップしていく必要があります。今回は、テスト・改善によるホームページのブラッシュアップサイクルについて解説します。
まずは、ホームページのブラッシュアップサイクルの全体像をご覧ください。これらを1つ1つ説明していきます。
1.目標・仮説・テスト
ホームページを改善してブラッシュアップしていくには、ホームページの目標設定、ボトルネックの特定、改善のための仮説設定、テストによる仮説検証のステップを順に行なっていくことが重要になります。この「目標・仮説・テスト」のステージについては「ホームページのテストを成功させるための5つのステップ」で詳しくお話をしていますが、以下で簡単におさらいをしておきます。
STEP1 ゴールを明確にする
ホームページのテストで成功するためには、例えば、Eコマース(ネット通販サイト)であれば商品購入、会社のホームページであれば資料請求や求人応募、といったようにゴールを明確にしておく必要があります。
STEP2 ボトルネックを突き止める
ゴールを明確にしたら、次にゴールの達成を妨げている「ボトルネックを突き止める」ことになります。例えば、先ほどのEコマースの場合であれば、商品購入というゴール達成を妨げる1つの要因として、購入完了ページまでの途中で「離脱する」ことが挙げられます。そして、ユーザーがもっとも離脱しているページが、ボトルネックということになります。
STEP3 仮説を立てる
ボトルネックを突き止めたら、今度はそれをどのようにしたら解消できるのかを考え、仮説を立てます。例えば、「お客様情報入力のページの確認ボタンが分かりにくいので、目立つようにしたら離脱するユーザーが減るのではないか?」といった仮説です。
また、他にも「個人情報入力後の流れが分からないので、不安で購入完了にまで至らないのではないだろうか?」と言った仮説も考えられます。
これらのボトルネック解消のための仮説が、これから行うテストの種類(テストバリエーション)ということになります。
STEP4 優先順位をつける
仮説が複数あった場合、テストも複数実施する必要がありますので、まずはテストに対して実施する優先順位を付けることになります。優先順位は、費用や手間、作業の容易さ、改善した場合の影響力などを考えて決めるとよいでしょう。
STEP5 テストを実施する
優先順位を決めたらテストを実施します。テストにはA/Bテストと多変量テストがあります。A/Bテストと多変量テストについては、テスト実施「A/Bテストと多変量テスト」をお読みください。
それでは次に、『2.評価』、『3.改善』、『4.疑問』の各ステージについて説明をします。
2.評価
テスト実施後、テストはうまくいったのか?それはどんな結果だったのか?その結果は妥当なのか?結果にエラー値は含まれていないか?などを評価します。テストの結果が妥当でなければ、いくら改善しても効果がでないからです。その上で、テストの結果をもとに結論を出します。例えば、確認ボタンを赤色と緑色のパターンでテストを行なった場合、緑色の方がクリックする人が3%増えたので緑色の方が有効である、といったように、テストの結果から何が分かったのかを明確にします。
3.改善
テストの結果をもとに、より成果が上がると判断されるテストパターンの方をホームページに反映させます。といいますか、テスト自体、ホームページに反映させた状態で行なわれていますので、結果の良くない方のテストパターンをホームページから外す、という方が現実に即した言い方になるでしょう。
4.疑問
改善しても終わりという訳ではありません。さらにコンバージョン率を向上させるために、何ができるかを考え続けましょう。新たなボトルネックを見つけ、そのボトルネックを解消するための仮説をたてて、次のテストを行います。このようなサイクルを繰り返し、改善し続けることによって、より効果的なホームページへとブラッシュアップされていきますので。ぜひ、このサイクルを実践するようにしてください。
最後に、ホームページのテストを行う上で知っておいたほうが良いポイントをご紹介しておきます。
これだけは知っておけ!ホームページテスト実施8箇条
ホームページのテスト実施のコツやよくある問題を8箇条にまとめましたので、参考にしてください。
1.十分なテストデータを確保する
信頼度の高い結果を得たいのであれば、例えばコンバージョン数でテスト結果を評価する場合、最低でも100コンバージョン程度のデータはあった方が良いでしょう。十分なアクセスやコンバージョンのデータが確保できない場合、テスト自体が時間の無駄になる可能性もあります。
2.テストは一定期間継続する
仮にアクセスやコンバージョンが十分で信頼度99%の結果が3日で判明したとしても、テストは一定期間継続しましょう。一般的にどのサイトでも曜日やシーズンの影響を受けるものです。
3.必ず仮説に基づいてテストする
テストは必ず仮説ありきということを忘れないで下さい。なんとなく思いついたアイデアだけで適当にテストするのは時間の無駄です。仮説無きテストでAパターンが勝ったとしても、そこから得られるものはなにも無いというこを理解しましょう。
4.1回のテストで諦めない
オリジナルがテストパターンよりも良い結果だったとしても、そこで終わらせずに新たに仮説を立ててテストを継続していくようにしましょう。
5.小さな数値を無視するな
テストパターンがオリジナルをたった3%上回る結果だったとしても、その3%の上昇が継続していけば、結果的に大きなインパクトとなり得ます。例えば、継続して1ヶ月3%上昇すれば、12ヶ月で、なんと約40%の上昇になります。
6.テスト結果の妥当性を揺るがす要因を知れ
「外的要因(業界不祥事/ワールドカップなどのイベント)の発生」「アクセスユーザーの偏り」「テストツールから誤ったコードを挿入」などの影響により、データが歪むことがあります。
7.誤判定があることを知れ
A/Bテストをツールで実施しても、ツールによっては誤判定がある場合があります。その場合は、A/B/Aテストで確認するなど、検証が必要になります。
8.複数ページの並列テストは注意しろ
例えば、商品ページ、カートページの両ページでそれぞれA/Bテストをしてしまうと、後続のカートページのユーザー流入配分が商品ページのテスト結果にも影響されることになります。
いかがでしたか?
ぜひあなたのホームページもブラッシュアップが行われ、成果の上がるホームページに生まれ変わることを期待しています。