Webマーケティングに欠かせない指標 "KGI"と"KPI”

KGI、KPIのルーツ

もともと、KGI、KPIという用語は、BSC(バランスト・スコアカード)という、企業戦略を策定するためのレームワークの中で用いられていました。今日では、それが一般化し、目標達成のための指標として、様々なシーンで活用されています。それぞれの正確な表記と一般的な日本語訳は、以下のとおりです。

KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標
KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価

Webマーケティングの世界でもKGI、KPIは広く用いられるようになってきていて、今では、マーケティングの成果を検証するために欠かせないものとなってきています。

KGIとKPIの違い

では、KGIとKPIにはどんな違いがあるのでしょうか。まずは以下の例をご覧ください。

図1

図1

図1では「ネット販売10%アップ」がKGIです。平たく言えば「ゴール」ですね。そして、それ以外は全てKPIということになります。KGIを達成するための各取り組みの状況を定量的に評価するための指標です。つまり、KPIを達成していくと、それが積みあがってKGIが達成できるという構成となっています。というか、そのように構成するわけです。

KPIとKGI 現状 目標
ネット販売10%アップ [KGI] 10万円 11万円
ネット販売平均客単価 2,000円 現状通り
訪問者数10%アップ [KPI①] 500 550
離脱率10%ダウン [KPI②] 90% 80%

ネット販売10%アップがKGIです。具体的には、10万円から11万円です。
そこで、訪問者数を500から550に10%アップ(KPI①)し、かつ、離脱率を90%から80%に10%ダウン(KPI②)させれば、KGI達成というわけです。式にすると、以下のようになります。

現 状 : 訪問者数500 ×(100%-離脱率90%)× 客単価2,000円=10万円
ゴール : 訪問者数550 ×(100%-離脱率80%)× 客単価2,000円=11万円

KPIツリーと先行指標

図1で分かるように、KPIは複数階層のツリー上になることが普通です。下位層のKPIを全て達成すれば、上位層のKPIが達成できるというわけです。

これは、上位層と下位層のKPIの因果関係を明確にするということに他なりません。下位層のKPIと上位層のKPIの因果関係が明確でなければ、出来のいいKPIツリーとはならず、下位層のKPIを全て達成しても上位層のKPIは達成できなくなってしまいます。

ただし、「明確にする」ということと「結果的に正しい」といことは別です。図1の例で、「リスティング広告からの流入数20件アップ」のKPIの下位層として「インプレッション数1,000件アップ」というKPIを設定したとします。クリック率は現状平均の2%と仮定すれば、流入数20件アップは達成できるわけです。

そこで、新たな検索キーワードを発掘し、「インプレッション数1,000件アップ」を達成しました。ところが、流入数は10件しか増えませんでした。

もう、お分かりですね。新たに発掘したキーワードでは、他のキーワードに比べてクリック率が低かったのです。このように明確ではあるけど、結果的に正しくないということは、よくあることです。結果を受けて、「インプレッション数2,000件アップ」にKPIを設定しなおせばよいのです(例ですので、広告予算等については、考慮していません)。

上記の例では、下位層の「インプレッション数1,000件アップ」というKPIが上位層の「リスティング広告からの流入数20件アップ」というKPIの先行指標となっています。

平たく言えば、予測です。想定と言っていいかもしれません。予測では、あるいは想定通りなら、上位のKPIは達成できるといことです。予測、または想定ですから、外れることはありうるのです。出来のいいKPIツリーには、こういった先行指標が含まれるのが普通です。

一方、インプレッション数が500件しかアップせず、流入数増が10件にとどまっている場合は、インプレッション数をもう500件アップするための対策を打つことになります。

KPI設定のポイント

容易に定量的な測定が可能であること
KGI、KPIとも定量的に測定できなければ意味がありません。

さらに重要なのが、「容易に」という点。Webマーケティングにおいては、アクセス解析ツールなどによって、ほぼ自動的に測定できる指標が理想です。

先に挙げたバランススコアカードの導入において、多くの失敗事例に共通するのが指標の取得が容易ではなかったこと。KPIの取得のために多くの労力がかかって疲弊しては、元も子もありません。意外と見落とされやすいので、注意してください。

傾向をつかめること、つかむこと
KGI、KPIともに時系列で傾向をつかめることが重要です。

一定期間、例えば、1か月間、3か月間、1年間などの期間ごとにどのように推移しているか、その傾向を可視化できる仕組みとしておきましょう。そして、定期的に傾向を確認するようにしましょう。

KPIを達成するためには、当然、何らかの施策を行うことが必要です。この施策の効果を、一定期間の傾向によって見極めてください。

通常、施策の効果出るまでには一定の時間がかかりますので、一定期間の傾向で判断する必要があるのです。また、一旦、効果出たように見えても、ある時点から効果が見られなくなるということもあります。傾向をつかむようにすれば、このような異変も見逃さずに済みます。

傾向を確認した結果、改善傾向なら、今の施策をそのまま継続すればよいでしょう。もし、一定期間を経過しても改善が見られなければ、今の施策の見直しを検討してください。

変化の原因を探れること
改善している、悪化している、あるいは、突然よくなった、突然悪化した。こういった場合、その原因を分析する必要があります。

複数の施策を同時に行って改善した場合、それぞれの施策の効果を分離して把握できるような仕組みにするべきです。分離して把握できないと、どの施策がどの程度効果を上げているかがわかりません。

さらに改善しようとしても、どの施策を重視すべきかわかりません。また。効果が薄れてきた時も、どの施策の効果が薄れてきたのかもわかりません。これでは、せっかくの施策が今後どう役に立つのか、漠然としてきてしまいます。当たり前のようですが、意外と見受けられることが多いので、ご注意を。

また、突然よくなったり悪化したりした場合も同様です。イベントやキャンペーンを仕掛けたり、メディアに取り上げられたりといったことが考えられますが、それぞれの効果を分離して把握できないと、前述の例と同様、これらが、今後どう役に立つのか、漠然としてきてしまいます。

適度に先行指標を含むこと
出来のいいKPIツリーには、適度に行指標が含まれていることは、先に説明した通りです。

先行指標が含まれているということは、仮説が立てられているといってよく、やるべきことがある程度わかりやすいレベル落とし込まれている状態になっているはずです。

つまり、「KPIは分かったけど、では、その実現のためにはどうすればいいの」といった問にある程度応えられている状態ということです。先行指標が著しく足りないKPIツリーでは、「実現のためにはどうすればいいの」といった問に対する距離がありすぎて、絵に描いた餅になりがちですのでご注意を。

まとめ

このコラムでは、KGI、KPIの由来や違いに始まり、KPIツリーや先行指標、KPI設定のポイントなどについて、説明してきました。KPI設定のポイントは、「容易に定量的な測定が可能であること」、「傾向をつかめること、つかむこと」、「変化の原因を探れること」、「適度に先行指標を含むこと」の4点となります。