【2022年版】GA4とは?Googleアナリティクス4プロパティの仕組みを解説
2020年10月に次世代のGoogleアナリティクスとして、「Googleアナリティクス 4プロパティ(Google Analytics 4 property、以下GA4)」がリリースされました。リリース当初は機能的に不足があったことや従来の Google アナリティクス (ユニバーサル アナリティクス)が引き続き利用できる状況にあることから、これまでは様子見と考えられていた方々が非常に多いのではないでしょうか?
しかし、2022年3月16日にユニバーサルアナリティクスのサポート終了予定が正式にアナウンスされたことで状況は変わりました。ユニバーサルアナリティクスでは2023年7月1日までは引き続き新しいデータの収集が行われますが、それ以降は新しいデータの収集は行われなくなります。また、利用についても7月1日以降、少なくとも 6ヶ月間はアクセスできることがアナウンスされていますが、それ以降については利用が出来るかどうか不透明な状況です。
その為、今後もGoogleアナリティクスでアクセス解析を行っていく場合には、GA4への移行を本格的に検討していく必要があります。業務としてアクセス解析を行われている方々は、今のうちからGA4に慣れていく必要があるでしょう。
本コラムでは、GA4の仕組みについてこれまでのGoogleアナリティクスとの違いという観点から、解説をしていきます。
GA4とは?
GA4は、2005年にリリースされたGoogle社が提供する無料のアクセス解析ツールGoogleアナリティクスの最新バージョンになります。
Googleアナリティクスは、もともとは米国Urchin Software社が開発・提供していたアクセス解析ツールであり、Google社によるUrchin Software社の買収の後にGoogleアナリティクスとして提供されるようになりました。Googleアナリティクスはこれまでにバージョンアップが何回か行なわれてきており、GA4はその名称が示すように第4世代目のGoogleアナリティクスということになります。
世代 | タグ | タグ(通称) | タグリリース時期 | ID |
Urchin | urchin.js | 2005 | UA-XXXXXXXXX-X
(トラッキングID) |
|
Googleアナリティクス | ga.js | クラシックタグ | 2007 | |
ga.js | 非同期タグ | 2009 | ||
dc.js | 2012 | |||
ユニバーサルアナリティクス | analytics.js | ユニバーサルアナリティクスタグ | 2014 | |
Googleアナリティクス4プロパティ(GA4) | gtag.js | グローバルサイトタグ | 2017 | G-XXXXXXXXX
(測定ID) |
GA4では、Webサイトに設置するトラッキングコードとしてグローバルサイトタグ(gtag.js)が使用されます。これはユニバーサルアナリティクスで2017年から使用されてきたものと同じになりますが、プロパティを一意に特定する為のIDに関してはユニバーサルアナリティクスのトラッキングID(UA-から始まる)から変更となり、GA4では測定ID(G-から始まる)が使用されます。
GA4の特徴
GA4がこれまでのGooleアナリティクスと大きく異なる点として、以下の4つの特徴が挙げられます。
GA4のプロパティには「データストリーム」という項目が新しく追加されており、iOSアプリ、Androidアプリ、そしてウェブの3種類の設定が出来るようになっています。これにより、1つのプロパティ内でWebサイト用のデータとFirebase経由で計測されるスマホアプリのデータを統合して計測することが可能になっています。
指標 | 定義 |
購入の可能性 | 過去28日間に操作を行ったユーザーによって、今後7日間以内に特定のコンバージョンイベントが記録される可能性です。 |
離脱の可能性 | 過去7日以内にアプリやサイトで操作を行ったユーザーが、今後7日以内に操作を行わない可能性です。 |
予測収益 | 過去28日間に操作を行ったユーザーが今後28日間に達成する全購入コンバージョンによって得られる総収益の予測です。 |
ユニバーサルAnalyticsとGA4の違い
それでは次に、ユニバーサルアナリティクスとGA4の仕組みについて比較しなら、その違いをより具体的に見ていきます。
データの計測単位の違い
Googleアナリティクスでは、「ヒット」と呼ばれる単位でアクセスデータを管理しています。「ヒット」はGoogle アナリティクスサーバに送信・処理されるデータの通信単位であり、ユニバーサルアナリティクス、GA4ともにその呼び方自体は変わっていません。
ユニバーサルアナリティクスでは、基本的にページビュー単位で「ヒット」を計測しています。ページが表示される毎に「ヒット」としてデータが送信・処理される形です。ただし、それだけではページビュー以外のサイト上のユーザーの行動を計測することが出来ませんので、サイト運営側の方でカスタムイベントやeコマーストラッキングなどを設定することが出来るようになっています。
それに対して、GA4ではほぼ全ての「ヒット」をイベントとして計測する形になっています。サイト上のユーザーの行動1つ1つをイベントとして計測します。基本的なイベントは自動取得されるようになっており、ページビューもイベントの1つとして計測されます。また、サイト運営側の方でもカスタムイベントを追加することが出来るようになっています。
「ヒット」として計測される単位
ユニバーサルアナリティクスの場合 | GA4の場合 |
標準で計測
・ページビュー + サイト運営側で設定することで計測 ・イベント ・eコマース ・ソーシャル インタラクション ・ページの読み込み速度、など |
ほぼ全てイベントとして計測 |
イベントの違い
さて、そのイベントですがユニバーサルアナリティクスとGA4ではイベントにおけるデータの持ち方などが異なる為、別物と考える方が分かりやすいと思います。ユニバーサルアナリティクスでは、イベントというとサイト運営側でコードを追加するカスタムイベントのイメージが強いと思いますが、GA4ではコードを追加しなくても収集されるイベントとコードを追加することで収集されるイベントの2つがあります。
GA4のプロパティを設定すると、自動的に収集されるイベントです。
測定機能の強化イベント
プロパティの管理画面にある「測定機能の強化」を有効にすることで自動的に収集されるイベントです。ユニバーサルアナリティクスではカスタムイベントを設定する必要があった「スクロール数」や「離脱クリック」、「サイト内検索」、「動画エンゲージメント」、「ファイルのダウンロード数」といったイベントが、自動で計測されるようになります。
サイト運営側で実装(コードの追加)する必要はあるものの、事前に定義された名前とパラメータを持つイベントです。
カスタムイベント
サイト運営側で名前を指定して実装するイベントで、他のカテゴリのイベントが用途に当てはまらない場合にのみ作成します。
GA4では、各イベントに対してユーザー情報やあらかじめ定義されたパラメータの値が取得・紐づけられて計測されます。例えば、Google検索の結果からWebサイトに遷移してページが表示された場合、ページビューとして計測されるイベントには以下のようなイメージでパラメータの値が取得・紐づけられます。
「セッション」指標の違い
ユニバーサルアナリティクスとGA4ではデータの計測方式が異なることもあって、指標やディメンションにも定義が異なる、或いは計測された数値が異なるものがあります。顕著なのが「セッション」指標で、セッション時間やセッションが切れるタイミングなどの定義が異なる為、ユニバーサルアナリティクスとGA4ではセッション数やセッション時間の数値は一致しません。
ちなみに、GA4ではセッション開始時にイベント「session_start」が計測されます。「session_start」のイベント数がセッション数としてカウントされる形になっています。
セッション指標 |
ユニバーサルアナリティクスの場合 |
GA4の場合 |
セッションの長さ |
最後のページ表示時間-最初のページ表示時間 |
最後のイベント発生時間-session_startイベント発生時間 |
セッション時間の上限 |
24時間 |
制限なし |
セッションが切れるタイミング |
30分以上操作しないとき |
30分以上操作しないとき |
流入元が変わったとき |
新しいセッションになる |
新しいセッションにならない |
日をまたいだとき |
別セッションになる |
別セッションにならない |
アカウント構造の違い
ユニバーサルアナリティクスとGA4では、アカウント構造にも違いがあります。ユニバーサルアナリティクスでは「アカウント」-「プロパティ」-「ビュー」の3層構造になっていますが、GA4では「ビュー」に相当する階層がありません。その為、これまでユニバーサルアナリティクスで「ビュー」を複数作成し、フィルターを利用して利用者毎にデータの参照範囲を制御しているような場合には、どのように移行を行うかを検討する必要があります。
データ保持期間の違い
ユニバーサルアナリティクスでは、データの保持期間としてプロパティの設定で”14か月”/”26か月”/”38か月”/”50か月”/”自動的に期限切れにならない”の5種類から選択することが出来るようになっています。多くの場合、”自動的に期限切れにならない”を選択して、データが削除されないように設定されていたのではないかと思います。
一方、GA4ではイベントデータについて”2か月”と”14か月”の2種類からの選択となっています。初期設定では、”2ヶ月”に設定されていますので、「管理」-「データ設定」-「データ保持」で”14か月”に変更した方が良いでしょう。
また、データの保持期間が終了すると自動的にデータが削除されてしまい、それ以前のデータが参照出来なくなります。その為、過去のデータを保持しておく為には、BigQueryにデータをエキスポ―トしておくようにするなどの対策が必要になります。
GA4のレポート
GA4で提供されるレポートで大きく変わった部分として、標準で用意されているレポートをカスタマイズすることができるようになった点が挙げられます。ユニバーサルアナリティクスにおいて標準で用意されているレポートでは、セカンダリディメンションの追加やグラフの表示形式の変更など簡単な表示内容の変更程度はできるものの、基本的にはレポートのカスタマイズやレポートメニューの構成変更などは出来ません。
一方、GA4では利用開始時点で用意されているレポートはあくまでもGoogle側で用意したデフォルトのレポートであって、それらの内容はレポートビルダー機能を利用してカスタマイズすることが出来るようになっています。また、1からレポートを作成することも可能です。
サマリーレポートと詳細レポート
GA4のレポートでは、サマリーレポートと詳細レポートの2種類が用意されています。
デフォルトのレポートナビゲーション構成
GA4では、レポートはコレクション、並びにトピックという形でグループ分けがされています。デフォルトでは、コレクションとして「ユーザー」と「ライフサイクル」が用意されています。また、トピックとしては「ユーザー」の配下には「ユーザー属性」と「テクノロジー」が、「ライフサイクル」の配下には「集客」「エンゲージメント」「収益化」「維持率」がそれぞれ用意されています。それぞれのトピックに紐づく形で、デフォルトでは
17のレポート(サマリーレポート:7、詳細レポート:10)が用意されています。
レポートとして表示される内容は、「ライブラリ」から変更を行うことが可能です。「ライブラリ」では、コレクションやトピックのカスタマイズ、並びにレポート(サマリーレポート/詳細レポート)の新規作成や編集が可能です。
尚、“レポートのスナップショット”もサマリーレポートで構成されていますので、利用者側でカスタマイズや別のサマリーレポートに変更することも可能です。
GA4のデータ探索ツール
データ探索ツールはGA4で新しく追加された機能で、これまでは有料版のGoogleアナリティクス360においてベータ版として提供されていたものになります。カスタムレポートのような自由形式でレポートを作成する機能や、ユニバーサルアナリティクスでは標準レポートとして提供されていた「目標到達プロセスデータ探索」、「ユーザーエクスプローラ」、「経路分析」が機能強化され利用可能になっています。
自由形式のデータ探索 |
使い慣れたクロス集計表の形式でデータを探索できます。棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ、散布図、地域マップなど、さまざまなスタイルの表示形式を適用することも可能です。 |
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コホートデータ探索 |
共通の属性を持つユーザーのグループの行動とパフォーマンスから、分析情報を入手します。 |
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目標到達プロセスデータ探索 |
ユーザーがサイトやアプリでタスクを完了するまでのステップを視覚化して、ユーザー エクスペリエンスを最適化したり、高い成果が得られている(または十分な成果が得られていない)ユーザー層を特定したりできます。 |
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セグメントの重複 |
さまざまなユーザー セグメントが互いにどのように関係しているかを確認できます。この手法を使用すると、複雑な条件を満たしている新しいユーザー セグメントを特定できます。 |
|
ユーザーデータ探索 |
作成またはインポートしたセグメントを構成しているユーザーを調べることができます。個々のユーザーのアクションをドリルダウンすることもできます。 |
|
経路データ探索 |
ユーザーがどのような経緯で、ウェブサイトやアプリにアクセスしているのかを視覚的に表示します。 |
|
ユーザーのライフタイム |
ユーザーの行動を探索して、顧客としてのライフタイム バリューを評価します。 |
GA4のコンバージョン設定
ユニバーサルアナリティクスでコンバージョンを計測するには、ビューの管理画面にある「目標」でコンバージョンを計測する条件を設定する形です。一方、GA4にはこの「目標」を設定する箇所がありません。GA4でコンバージョンを計測するには、コンバージョンとして計測する条件をカスタムイベントとして新たに作成し、そのカスタムイベントに対して「コンバージョンとしてマークを付ける」をONにする形となっています。
コンバージョンの計測設定の流れ
- 「設定」-「イベント」で、新たにカスタムイベントを作成
- 作成したカスタムイベントにおいて、コンバージョンを計測する為の条件をイベント名やイベントパラメータ等で設定
- (必要な場合)タグマネージャーなどでWebページにイベントの発火コードを記述
- 「設定」-「コンバージョン」で、該当するカスタムイベントに対して「コンバージョンとしてマークを付ける」をONにする
例えば、お申込み完了ページが表示されたことをコンバージョンとして計測する場合は、以下のような条件をカスタムイベントに設定します。
「event_name」 等しい 「page_view」
「page_location」 等しい 「お申込み完了ページのURL」
以下に、コンバージョンとして計測されることの多い内容について、設定内容を記載します。
コンバージョンの内容 |
パラメータ |
演算子 |
値 |
従来の「到達ページ」による計測 |
event_name |
等しい |
page_view |
page_location |
等しい (含む) |
到達ページのURL(の一部) |
|
外部サイトへの誘導 |
event_name |
等しい |
click |
link_url |
等しい (含む) |
誘導ページのURL(の一部) |
|
特定ファイルのダウンロード |
event_name |
等しい |
file_download |
file_name |
等しい |
ファイルのタイトル |
|
Webサイト上の特定のYouTube動画の視聴 |
event_name |
等しい |
video_start |
video_url |
等しい(含む) |
YouTube動画のURL(の一部) |
|
特定のWebページが最下部まで閲覧された |
event_name |
等しい |
scroll |
page_location |
等しい (含む) |
対象ページのURL(の一部) |
最後に
いかがでしたか?従来のGoogleアナリティクスとGA4では、大きく仕様が異なっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか?
Googleアナリティクスの利用状況によっては、GA4への移行はそう簡単ではありません。ユニバーサルアナリティクスのサポート終了予定が既にアナウンスされていますので、まだGA4の設定が行われていない場合には今直ぐに利用を開始するようにしてください。また、GA4に慣れていただく為には、本コラムでご紹介したようなGA4の仕組みについて理解を深めていただくことが早道のように思います。是非、本コラムの内容をGA4の習得にお役立てください。