Kintoneを使って問い合わせフォームからデータを自動取得

WEB活用の教科書

今回の授業の先生



WEB活認定コンサルタント
新井 祐介(あらい ゆうすけ)

執筆コラム

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今週の授業

近年、積極的なCM展開もあり知名度が向上しているクラウド型データベースSaaSの「Kintone」。
業種業態を問わず活用が可能で、これまでExcelで管理していたような社内の種々雑多なデータをノーコードで簡単にデータベース化ができ、企業のDX化を推し進めるにあたっての強力な味方になってくれるツールです。
  
Kintoneで管理するメリットがある分野として、CRM(顧客関係管理)があります。
CRMはパッケージソフトやSaasとして提供されているものも多く存在しますが、どちらかと言うとソフトに自社の運用を合わせるような形態となることが多く、自社で自由に項目を規定するような使い方は難しい側面があります。
こうした企業においてはKIntoneの利用が適していると言えるでしょう。
  
CRMで管理すべき項目のひとつとして接点管理が挙げられますが、昨今の顧客接点として大きなものがWebサイトを起点とした問い合わせです。
多くのケースではお問合せフォームをwebサイトに仕込むケースが多いと思いますが、その問い合わせ内容が届く先はメールアドレス宛という対応になっていることが大多数で、問い合わせを受けた後、メールに対してきちんと返信したか、また誰が対応したのかなど、対応状況の把握をするのはメールで情報を受けた場合はなかなか対応が難しいのが事実です。
  
今回は、問い合わせフォームとkintoneを連携させることで、問い合わせ内容を自動で取り込み、対応の記録までをできるアプリの作り方を解説します。
  
  
1.フォームの準備
まずはフォームの準備から始めます。
今回の趣旨としてはKintoneと自動で連携することに意味がありますので、API(サービス同士で情報を自動連携する仕組み)を使いメールを受信したら自動的にKintoneに取り込む仕組みを構築したいので、フォーム側もAPIでの通信に対応している必要があります。
  
この条件に合致するツールとしては、wordpressのプラグインである「Gravityforms」があります。
APIを通じた接続に標準で対応しており、kintoneに限らず多くのサービスとの連携が可能です。
多くのwordpressサイトで使われている無料のツールと違い、有料(年間59ドル)のツールではありますが、問い合わせ業務の省力化メリットを考えれば決して高くはないのではないかと思います。
なお、利用率の高い「Contact form 7」や「MW Contact Form」についても、標準機能としてはAPI連携機能は備わっていないものの、アドオンでの対応が可能なようです。
これらのプラグインを使ってフォームを作成している場合は、セキュリティ部分の確認をした上で利用を検討しても良いでしょう。
  
フォーム自体の作成方法については詳しくは本稿では触れませんが、次に触れるKIntone側との受け渡しを行う必要がありますので、必要十分な項目を用意してください。
  
  
2.受付用Kintoneアプリの設定
次にメールを受けるためのKintoneアプリを作成します。
前提として、kintoneはスタンダードプランである必要があります。
(ライトプランではAPI連携が利用できません)
アプリのフィールド設定についても本稿では詳しくは取り上げませんが、フォーム項目を一通り用意していくほかに、対応ステータス(対応前・対応中・ペンディング・対応済み etc.)、対応担当者などの追加をしておくとCRM的な使い方もしやすくなります。
  
  
3.GravityformsとKintoneの連携設定
情報の出し側(Gravityforms)と受け側(Kintone)の設定ができたところで、各々を連携する設定を行います。
プログラムの知識があれば直接連携することも可能ですが、難易度がかなり高いので今回はノーコードでAPI連携する方法をご案内します。
使うツールは「Zapier(ザピアー)」というSaaSで、API同士の間を取りもち、それぞれのフィールド間の連携処理をドラッグ&ドロップで行うことができるツールです。
GravityForms・kintoneともに連携サービスとして登録済みになっていますので、アカウント情報等を入力するだけで連携の基礎準備が完了します。
  
次に、Gravityformsで用意したフィールドをKintoneの受付アプリのフィールドに紐付けする作業を行います。
紐付けを行なったら、正常稼働するかどうかのテストが実行されるので、動作確認を行った上でスイッチをONにすれば準備完了です。
  
  
上記の処理はフォームの設定の1回きりで、その後はメールが届いたらKintoneに自動連携されますので、例えば複数のフォームが存在する場合でも同じ設定を行うことで問い合わせ管理Appに問い合わせ内容を集約することもできますし、複数名での対応をする体制を作っている会社の場合でも、誰が、
いつ、どう対応したかというステータス管理も行いやすくなり、大幅に業務効率のUPが期待できます。
(メールそのものをkintoneから送信したい場合は別途プラグインの導入が必要となります)
  
  
ここで取り込んだ情報をもとに、顧客リストのアプリと連携して、既存のレコードがない場合は顧客登録を行い、既存顧客からの問い合わせの場合は自動的に顧客情報に紐づけるといった処理が可能になります。
自社のwebサイトの問い合わせ管理で課題がある企業様の参考になれば幸いです。

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